「あの日みた花の名前を僕達はまだ知らない。」
「心が叫びたがってるんだ。」

ひきこもりだったじんたんと、
幼少期のトラウマで声が出なくなった成瀬順。

二人を主人公にした二本のアニメは、
日本中の心を揺さぶり、舞台となった秩父は
全国からファンが訪れるアニメの聖地となった。

実は、そのアニメの脚本を書いた岡田麿里自身が
小学校で学校に行けなくなっていたのです。

これは、母親と二人きりの長い長い時間をすごし
そして「お話」に出会い、
やがて秩父から「外の世界」に出て行った岡田の初めての自伝。

「あの日みた花の名前を僕たちはまだ知らない」というアニメが秩父を舞台にしていた作品だとは知っていたけど、原作者も秩父出身だったとは知らなかった・・・





読んでみてわかったのですが、本人が出身地を隠していたみたいです
その気持ち、すごく分かります
わたしはこのブログでも特定地域をあえてスルーしているのですが、トラウマがあるからに違いありません(笑)

「あの花」「ここさけ」の脚本を書いた「岡田 麿里」さんのはじめての自伝は、秩父への畏怖も混じったちょっとメンヘラチックな本でした

「あの花」も「ここさけ」も、主人公はどちらかというと「陰キャ」と言われる、目立たない存在
スクールカーストでいうと下位層なわけですが、そんなお話を書いた本人自身も実は心に闇を抱えていました

とにかく彼女のお母さんのキャラがすごいです
第三者の私にもヤバさ加減が伝わってきますね
いわゆる毒親というやつなんだと思うのですが、大人になってちゃんと距離をとって自分の人生を取り戻したからこそ今回の自伝を書けたのだと思います

岡田麿里さん脚本のアニメは人並みに見ていて、「花咲くいろは」も好きでした



これにでてくるお母さんがまたすごいキャラなんですけど、「現実にモデルがいたのか・・・」と合点。

岡田さんは秩父という土地にずいぶん囚われているように思えたのですが気持ちはすごくわかります

  • 武甲山が壁のように見える
  • 外の世界に出てみたいけども怖い
  • 中の世界の人に外の世界を教えてあげたい
  • すぐに人の噂がたってしまう
  • 秩父弁は言葉が荒い・・・などなど

特に「秩父の磁場」という表現には、強く共感できました
「『逆』雛見沢症候群みたいな
その土地に定着すると苦しくなってしまう病気みたいなものが、もしかしたらあるのかもしれない・・・と
秩父地域のことではないのですが、思ったことがあります

人目が怖くて一時期ひきこもりみたいになったことがありました
田舎っていつも誰かに監視されていてものすごく怖い
トラウマになるのもすごくわかります

多分、人間を取り囲む山がいけないのだと思う
人が外の世界に出ることができなくなって、中の世界ばかりに興味がいってしまう
それで人の噂ばかりする
人間と人間の摩擦が強すぎて生きづらい空間になる
1度沼にハマったら一生出れない



だから、



西武秩父線は偉大ですね





西武鉄道は大企業様。
神のような存在ですね

秩父と池袋を結ぶなんて偉業を成し遂げてくれて、
それで秩父に風穴が空いたようで、あの花の聖地巡礼をする方もだいぶ助かったと思います(笑)



2018/9/1 前田敦子主演でスペシャルドラマ化!



こちらの自伝「学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで」ですが、前田敦子主演でドラマになるようです

今やカリスマ脚本家となり、
今年2月には初監督アニメも公開された岡田の自伝だが、
成功者のサクセスストーリーから程遠く、
両作の主人公に共通する“闇を抱え自分の殻に閉じこもってしまう”経験がコミカルかつハートウォーミングに綴られている。

そう、岡田は学生の頃は“ひきこもり”だったのだ。

この自伝は“生きづらさ”を抱える10代20代の共感を呼び、ベストセラーとなった。

自伝をもとに、ドラマも岡田自身が脚本を担当。

大ヒットアニメの誕生秘話を描きつつ、ひきこもりでありながらも自分の居場所を見つけていく主人公の姿を通して、“生きづらさ”を抱える中高生にエールを送りたい。

ドラマの脚本も御本人である岡田麿里さんなのでちょっと注目しています
単発なのでお見逃しのないように!

【放送予定】
2018年9月1日(土) 
BSプレミアム よる 10時(単発・89分)
【原作・脚本】
岡田麿里
【出演】
前田敦子 大東駿介 浜野謙太 長井短
温水洋一 野間口徹 田中要次 本田博太郎 富田靖子 ほか

▼詳しくはこちら
脚本・岡田麿里×主演・前田敦子『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』 | 特集ドラマシリーズ | NHKドラマ


思春期に「中の世界」「外の世界」を感じた人におすすめ


中の世界で住んでいる人ってずっとその土地に定着していて、外の世界を知らないんですよね
だから考え方もワンパターンで新しい思考が生まれない
同じような考えの人達が集まって、ぬるま湯に浸かっているように見えました

大学進学をして東京を知るか、知らないかの差が大きい気がします

親からの呪縛から逃れられずに悶々とする中高生に伝えたいのは

  • 外の世界は絶対に知ったほうがいい
  • 中の世界よりも外の世界の方が自由で生きやすい
  • 学歴は無意味だが基礎学力はあなたを裏切らない
  • 親元を離れて、初めてあなたの人生がスタートすることもある
  • 毒親からはとにかく逃げろ
ということです
山に囲まれた土地からは、絶対に逃げ出すことができます


進撃の巨人の作者も子供の頃は山に囲まれていて、それが「壁」のように見えたそうです





作中、キャラクターたちが「外の世界に行ってみたい」と言うわけですが、それは幼少期の諫山創が心に抱いていたことなんですね~





自伝を読んでから「あの花」を思い返すと、「え!?そんなバックグラウンドがあったのか!?」とびっくりします

特に舞台が秩父であることを知られたくない!という原作者の気持ち・・・
実家が特定されてしまった時の気持ち・・・
秩父出身を隠したいと思うほどのトラウマ・・・


作品を見る目が変わってきますね
「あの花」はほのぼの感動ストーリーで非常に優れた作品だと思うのですが、原作者の胸中はこんなだったのか!と
ものすごく意外でした


多分、オタク系の方には刺さる内容だと思います

学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで
岡田 麿里
文藝春秋
2017-04-12





ますます「あの花」が愛おしくなりますね(笑)








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